「坂村調右エ門氏刺さる。K座 血みどろの仁木弾正」新聞の見出しを足立健祐は呆然と見つめていた。7年前の夏、中国山脈の山間、藤芽歌舞伎発祥の地の芝居小屋に、脇腹に匕首をのんだ仁木弾正が現われ、そしていま、立役者坂村調右エ門の極めつけの仁木弾正が、血をしたたらせてK座のスッポンからセリ上がって来たのだ。 美しい肉体を糧に生きる青年と、血みどろの仁木弾正の奇妙な因縁を描く表題作『美神たちの黄泉』の他、『万葉の甕』『黒潮の魔軍』『草薙剣は沈んだ』『カツオノエボシ獄』を収録。 『美神たちの黄泉』『万葉の甕』の二編は歌舞伎界をテーマに、『黒潮の魔軍』『草薙剣は沈んだ』『カツオノエボシ獄』は海をテーマに書かれている短編小説です。 舞台の世界の「光と闇」。海の世界の「光と闇」を表現されていると思いました。 明暗は常に紙一重。 華やかに見える世界にも影は存在し、海は常に美しいだけではない。 この短編集を読んでいると舞台にも海にも深みに填ると何処までも堕ちていく怖さがある様に思えてきます。 最初、手にとった時は 「全編歌舞伎ものか海もので揃えてもよかったのでは?」と思ったのですが、この五作の短編に共通するものを見つけてからは、この短編集のセレクトは中々絶妙だと思えました。 これで手元にある赤江作品を全部読み終えてしまった…。 あー。寂しい。 美神たちの黄泉 (角川文庫)〔赤江瀑〕 美神たちの黄泉 万葉の甕 黒潮の魔軍 草薙剣は沈んだ カツオノエボシ獄
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