昨日までは「ふつうのひと」だった――。残忍な人間の本性を暴く、殺人事件ノンフィクション。澱のように沈殿する憎悪、嫉妬、そして虚無感――。 誰にも覚えのある感情が、なぜ黒い殺意に変わるのか。日常のなかで突然襲い来るその瞬間、血のつながった家族、愛した人、通りすがりの名も知らぬ者を殺めるまでに、人を駆り立てるものは何か。 虚飾、自己愛、そして妄想……いびつで残酷な人間の本性に迫り、殺人事件の真相を暴く、ノンフィクション集。好評シリーズ第五弾。 ここ10年以内に起きた事件を中心に編まれているので、事件について自分の中で記憶が新しいものがいくつかありました。 購入して真っ先に読んだのが、“法廷の女優「セレブ妻カオリン」の終わらない演技―渋谷「夫バラバラ」殺人”でした。 不謹慎ですが、好奇心と興味のそそられる事件です。きっと自分の中にも“K”のような女くさい執着心があるからでしょう。 “ワタシだけ損するのはイヤッ”“離婚を言い渡すのはワタシからでなければ”という考えが歪んだエネルギーとなり、“K”が取り返しのつかない事をしでかす原動力になったんだろうと思いました。 ネットなどで“お金に執着していた人”という意見を見かけましたが、もう、その通りでしょうね。 最初は“夫”そのものを愛していたと思いますが、夫の経済力に執着してしまったのかもしれません。 事件を知った当時は“何で、最初のDVで別れなかったんだ”とか“もっと上手く立ち回ればよかったのに”と思いましたが、“K”は元・夫を殺害した事を後悔していないだろうな、とも思います。 自分なりの“勝ち”にこだわる人物のように見えるので“憎い夫が自分より先に幸せになるのを阻止できた”ことは、ただ別れるより達成感と満足感を得られたのではないでしょうか。 (どれもこれも事件から感じた自分の憶測なので、実際“K”の真意は何処にあるのか分かりませんが) 今迄のシリーズと比べて、事件の加害者に女性が多く、動機は身勝手で犯行も残忍なものが多かったです。 中でも、第四章で取り上げている事件は全て酷いものばかりで、特に“断末魔の声に昂奮した「自殺サイトの死神」”は、読後に何ともいえない不気味で嫌な感覚が残りました。 悪魔が殺せとささやいた―渦巻く憎悪、非業の14事件 【目次】 第一章 愛情と憎しみの混沌 夫の心変わりに牙を剥いた般若の姉さん女房―木更津「年下夫」刺殺事件 エリート焼肉部長が殺めた二人の愛人―愛知「連続女性バラバラ」事件 DV女と結婚した男に残された究極の選択―町田「新婚妻」絞殺事件 第二章 惨殺された家族の肖像 鬼が爪を研ぐ血染めの家―中津川「一家五人」絞殺・刺殺事件 土浦「両親・姉」撲殺事件 息子の嫁に欲情した刑務官の「男の自信」―大阪「母子」放火殺人事件 法廷の女優「セレブ妻カオリン」の終わらない演技―渋谷「夫バラバラ」殺人 第三章 夜叉たちが乱舞する漆黒の夜 独居老人キラー「女民生委員」の殺人奉仕―名古屋「絞殺」事件 虚飾に塗れた美人ママのカマキリ人生―福岡「連続夫殺し」 「お嬢さん」を狙った“赤い自転車の女”の性と生―名古屋「通り魔」連続殺傷事件 「砂人形を刺しただけ」中国人インテリ妻の憎悪の渦―滋賀「幼稚園二児」刺殺事件 第四章 不可解な関係が巻き起こした阿鼻叫喚 断末魔の声に昂奮した「自殺サイトの死神」―堺「三人連続」殺人 「やっちゃえ!」十六歳少女が開けた地獄の釜の蓋―熊谷「男女四人」拉致殺傷事件 ウリセンボーイを切り裂いたサド女と童貞男―大阪「三角関係」猟奇殺人 【解説】佐木隆三 |
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