現代小説の第2集。朝鮮戦争のさなか、米軍黒人兵の集団脱走事件の起った基地小倉を舞台に、妻を犯された男のすさまじいまでの復讐を描く「黒地の絵」。美術界における計画的な贋作事件をスリリングに描きながら、形骸化したアカデミズム、閉鎖的な学界を糾弾した「真贋の森」。他、一画家のなにげない評伝から恐るべき真実を探り当てる「装飾評伝」など7編を収める。 先日、読了いたしました。 短編集の中でも、特に重苦しいもの話が編まれた短編集かもしれない。すっごい、どんよりした気持ちになれました。 表題作の『黒地の絵』、粗筋だけ見ると“ジュコー”や“ハルヒコ”作品のようなバイオレンス満載のハードボイルドな復讐劇が始まるのかと思いきや、まったく違いました。 すごく惨めで悲しい話でした。 “生と等しく、死にも尊厳がある”と考えると、留吉は復讐できたのだろうと思えるのですが、どうにもやり切れない気持ちにさせられます。 いっそバイオレンス炸裂の復讐劇にしてくれたら、読んでいるこっちはスッキリできたかもしれないのですが、それじゃ“清張作品”ではなくなりますしね…。 後味の悪い話の多い清張作品の中でも、特に後味悪く感じました。 読了後の今も尾を引いています。 松本清張は作品名のつけ方が抜群に上手い作家の一人ですが、この『黒地の絵』というタイトルも、また秀逸。(読めばわかります) 表題作だけでなく、他のタイトルも読んでみて意味のわかる作品名ばかりで、特に『紙の牙』は最高だと思いました。 中身もおもしろかったです。 黒地の絵 二階 拐帯行 黒地の絵 装飾評伝 真贋の森 紙の牙 空白の意匠 草笛 確証 【解説】平野謙 |
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