水の肌〔松本清張〕
<<
作成日時 : 2011/08/04 21:07
>>
トラックバック 0 /
コメント 0
平凡な日常に潜む、黒い転機!!
周到な合理主義のエリート会社員はなぜ転落したのか。
傑作短編5編。
妻の実家の金で留学した男が旅先で資産家の娘と知りあい、妻の前から蒸発する。妻に落度があれば離婚は成立する。私立探偵を雇い、秘かに動向を監視し続けるが、その妻が知らぬ間に、軽蔑していたかつての同僚と再婚していたのを知った時男の心に理不尽な怒りが湧く。
表題作をはじめ計りがたい人間の愛憎と欲望をテーマに、現代社会の不確実な内面を抉る推理小説集。
『張込み』『死の枝』『駅路』ほどのインパクトはなく地味な感じの短編集ですが、清張っぽいじめじめした苦味を楽しめる短編集。
「指」は同性愛もので、清張作品では珍しいのでしょうか。
確か、ドラマ化されていた筈。
都合のイイ偶然があまりに多いんだけど、“御都合主義”も清張作品の味の一つなので、そこも楽しめました。
表題作の「水の肌」は、また読み手をイライラさせる話でして、主人公の男が奥さん側に留学費用を出してもらっておいて出先で条件のイイ女に乗り換えたクセに元奥さんが自分が見下していた同僚と再婚していた事に腹を立てて復讐を企てるって話で、その身勝手さと陰険さにメチャメチャイライラします。
でも、最後には身勝手のツケを払うハメになるので、まぁ、後味悪いってホドでもないかな。
しかし鯉の鱗に脂が浮く描写が気持ち悪いやね。
しかもその脂はエサに含まれているものじゃないのだから余計に。
「水の肌」は最後まで読むと、そのタイトルの意味がわかる短編です。
いつも思いますが、清張氏はタイトルのつけ方が抜群ですね。
水の肌〔松本清張〕
【目次】
指
水の肌
留守宅の事件
小説 3億円事件 「米国保険会社内調査報告書」
凝視
|