家畜人ヤプー〔沼正三 角川文庫版・1972年〕

画像

卓抜した発想力と空想力、驚嘆すべき博識、類稀れな面白さと気味悪さ…。
幻の作家沼正三が、2000年後の宇宙大帝国イースを舞台に、白人女性の快楽と必需品となる日本人の後裔“ヤプー”を描いて、マゾヒズムの極地を展開する大幻想小説。
この世界的奇書の出現は読書界に異様な衝撃と大反響をまき起こした。


Amazonのマーケットプレイスに安価で出ていたので思わず購入。
か!な!り!傷みの激しい文庫本でしたが、美しい表紙と挿画、決定版と謳われている本文が読めたので大満足です。

文庫本にしては分厚いし著者は28章も書いておいて、最後の方で
“これでやっと、『家畜人ヤプー』はその序章を終えたといえます。”
なんて書いてありました。

28章書いても、まだ半日くらいしか経ってないわけだから、序章みたいなモンなのでしょうが、内容が濃いから劇中では半年以上経過しているようにも感じます。
読み手の体感時間をも狂わせる『家畜人ヤプー』
SF設定で荒唐無稽なおもしろさで引き込み、その芯の部分には“人間の主義・主張や考え方は簡単に変わる”ことを書いていると思います。
このあたりも『家畜人ヤプー』の魅力と恐さがありますね。

先に読んでいた幻冬舎版と読み比べて、文の違いや書き足されている部分を確認するのも、また楽しいものです。
クララと麟一郎の身長が違ったり、カニリンガがクニリンガだったり。
実際読んでみて、後半部分が“別の書き手によるものでは?”と、実しやかに囁かれている理由も少し分かってきました。
ノリが違うんですよね。なんか軽いの。
設定が細かいのは相変わらずなんだけど、文体が軽く感じました。
これは時代が変わってきた影響や、時間が経つと書き手本人の文体が変わっていくこともありますから、“後半は別の書き手によるもの”なのかどうか、何とも言えないですね。


家畜人ヤプー〔沼正三 角川文庫版・1972年〕
全28章
あとがき
文庫版へのあとがき
解説:或るけだるい午後の、二人の会話 曾野綾子
解説:ヤプーに寄せる一つの印象 イザヤ・ベンダサン

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック