ようこそ地球さん〔星新一〕

画像人類の未来に待ちぶせる悲喜劇を、卓抜な着想で描いたショートショート42編。
現代メカニズムの清涼剤ともいうべき大人の寓話。


表紙の絵が素敵すぎる。
古風なのに、進歩的で未来を感じますよ。
(こういうのレトロフューチャーって言うんですか?)
夢とロマンがある絵ですね。

高校時代、新潮文庫の星新一ショートショートにハマって、しばらくしてから読んだショートショート集でした。
「友好使節」は中学の時に使ってた教科書に載ってたものなので、嬉しさで楽しさ倍増。
最後のオチは何度読んでもケッサクです。

しかし、『ようこそ地球さん』を初めて読んだ時は、“陰惨な話が多いなぁ…”と思ったものです。
(タイトルが明るくてカワイイし、表紙の絵もロマンチックなのに)
星さんのショートショートは後味の悪い話が少なくないですけど、この文庫は特に救いがないような暗い話が多いと感じたものでした。
「弱点」「たのしみ」「空への門」「霧の星で」「早春の土」「蛍」「処刑」「殉教」などなど、なんか、他の話と毛色が違うというか…。
しかし、イイ年こいてから読み返すと、またハマりますね。
「処刑」はファンの間でも高評価なので、こちらは別格として、何度読んでもイヤな後味を味わえるのが「たのしみ」。
長閑な田舎の村にある古いしきたりを守り続ける人々の話です。
(『夜のかくれんぼ』に所収されている「若葉の季節」とも似ています。他の作家ですと、筒井先生の「熊ノ木本線」と、少しばかり雰囲気が似ていますね。あとは漫画だと「悪魔の花嫁」の「ほたるにえ」とか)
タイトルが「たのしみ」と、ひらがなになっているのも、読後に陰惨さが味わえる効果が出ています。


ようこそ地球さん〔星新一〕
【目次】
デラックスな拳銃

弱点
宇宙通信
桃源郷
証人
患者
たのしみ
天使孝
不満
神々の作法
すばらしい天体
セキストラ
宇宙からの客
待機
西部に生きる男
空への門
思索販売業
霧の星で
水音
早春の土
友好使節

ずれ
愛の鍵
小さな十字架
見失った表情
悪をのろおう
ごうまんな客
探検隊
最高の作戦
通信販売
テレビ・ショー
開拓者たち
復讐
最後の事業
しぶといやつ
処刑
食事前の授業
信用ある製品
廃墟
殉教

あとがき:星新一
カット:真鍋博

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