悪魔のいる天国〔星新一〕

画像ふとした気まぐれで人間を残酷な運命に突きおとす“悪魔”の存在を、卓抜なアイディアと透明な文体で描き出すショートショート集。


タイトルが洒落ているので、「悪魔のいる天国」というショートショートを作ってほしかったです。
(初めて見た時は、表題作なんだろうと思って手に取りました)
「デラックスな金庫」「誘拐」「肩の上の秘書」「ゆきとどいた生活」「追い越し」「診断」は『ボッコちゃん』にも入っていますが、おもしろいので問題なしです。

この文庫の中では「シンデレラ」という話が印象に残ってます。
ある金持ちの男がカネに困った友人に人探しを依頼する話で、その人物は男の娘で、身体的な特徴に左手の親指が無く、右臀部に火傷痕があるというものだった。
その友人は娘を探し当て、男の依頼に応えたかのように見えたが…
なぜ、この話に「シンデレラ」というタイトルをつけたのか、最後まで読めばわかるという展開の仕方と意地の悪さも含めて、よくできている話です。
さすが、星新一。
でも、イヤな後味の残る話ですね。
「シンデレラ」の有名な元ネタに
“小さなガラスの靴が履けない姉の足を母が切る。王子様の元に嫁げば召使いに囲まれて暮らすのだから歩けなくても無問題”
というのがありますが、
“コイツ、娘役の女性に絶対同じようなコト仕出かしたな…”と思わせるラストなんですよ。
しかし、一番タチが悪いのは金持ちの男だな。
絶対、遊び半分でカネに困ってる友人を試したっぽいし。


悪魔のいる天国〔星新一〕
【目次】
合理主義者
調査
デラックスな金庫
天国
無重力犯罪
ロケットとキツネ
誘拐
情熱
お地蔵さまのくれたクマ
黄金のオウム
シンデレラ
こん
ピーターパンの島
夢の未来へ
肩の上の秘書
殺人者さま
ゆきとどいた生活
夢の都市
愛の通信
脱出口
もたらされた文明
エル氏の最期
サーカスの旅
かわいいポーリー
契約者
となりの家庭
もとで
追い越し
診断
告白
交差点
薄暗い星で
帰路
殉職
相続
帰郷

著者よりひとこと:星新一
解説:青木雨彦
カット:真鍋博

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