だれかさんの悪夢〔星新一〕

画像ああもしたい、こうもしたい。はてしなく広がる人間の夢だが……。
欲望多き人間たちをユーモラスに描く傑作ショートショート集。

このショートショート集も最後にニヤリとできたり苦い後味が味わえる、星先生のクールなバランス感覚が冴え渡る話ばかりです。

どれも軽く読めて、でもオチにムムム…とくる話ばかりですが、特に「空白の行動」「眠る前のひととき」「女とふたりの男」「きっかけ」「不快な人物」「一日の仕事」のオチが恐くて意地悪くて好きですね。
軽くてアッサリしてるのに底なしの恐さを感じるといいますか…。

「空白の行動」とか、いつか自分もやってしまいそうで恐い。またやったコトを覚えていないのが恐い。
放心状態になるなって絶対ムリ。いつも気がゆるんでる自分なんざ家にワケのわからないモノが増えていきそうで恐い。

「女とふたりの男」は、魅力的な一人の女性を男二人が争う話なんですけど、オチにギャフン!と言わされます。
女からしたら結論を先延ばしで放置ですからたまったモンじゃないですけど、最初のやり方に問題があったと思いますので、これは自業自得でしょうな。

「きっかけ」に出てくる、女が男に仕掛ける罠なんて、巷でブームの“婚活”の一部として行われていそうで恐いですね~。
この話は時代を先取りしているように思いましたが、いつの時代も女性から男性に働きかけないと結婚には至らないものなのかもしれませんね。

ハズレ無しの『だれかさんの悪夢』の中で一番好きなのは、「一日の仕事」
これは最高におもしろい。
読み手の違和感を最後にスッキリ解決してくれる、星先生の話作りの上手さが際立っています。


だれかさんの悪夢〔星新一〕
【目次】
レジャークラブ

空白の行動
とりひき
コレクター
観光地
問題の装置
気力発生機
眠る前のひととき
夜の乗客
収支
安全装置
宣伝の時代
一本の刀
楽しい毎日
敬遠
反政府省
見習いの第一日
女とふたりの男
こわいおじさん
一年の計
ある初夢
ごねどく屋
利益の確保
きっかけ
クーデター
おせっかい
不快な人物
けじめ
誓い
会員の特権
亡命者
出所の日
平均的反応
テレビの神
小さな社会
宝への道
夢の女
一日の仕事
便利なカバン
ある犯行
宇宙をわが手に
装置一一〇番
歳月
だまされ保険
ある旅行
飛躍への法則

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