ご依頼の件〔星新一〕

画像若いころの事件をたねに、金をゆすられているあなた!殺してもあきたらないほど、憎らしい人がいるきみ!おもいきって、“殺し”はいかがですか?ご依頼の件は必ずやりとげ、絶対安全。あなたには決してご迷惑をおかけいたしません。
常識的で、ありふれた世界に安住している人々の意識を痛撃し、人間の心の奥にひそむ願望をユーモアと諷刺で描いたショートショート40編。


40編もある充実のショートショート集です。

このショートショートは最初と最後の話が“怖い話”なんですよね。
「タブー」はタクシーに関わる都市伝説的な怪談を星新一ならではのショートショートにした話。
このタクシーの運転手さん、困ってるクセに何で会社に相談しないのかなぁ?と思うんだけど、この状況を楽しんでいるようにも見えてしまいます。
「窓の奥」は、山の中にある古い家屋に入りこんで抜け出せなくなった男の話。
この手の“一カ所に閉じ込められる”話ってーのは、怖いですね。
“同じ場所をいつまでも行ったり来たり”とか…。
外の景色は見えているのに、脱出できない、その場に留まり続けるというのが怖いんですよ。

表題作の「ご依頼の件」もどこかで起きていそうな恐い話です。
乗り物関係がちょっと恐くなります。

怖いというよりも、読後、複雑な気持ちになったのが「運」
ある平凡な家族。しかし、その家族はひとりひとり秘密を抱えていた。
父親は余命僅かの娘のために会社の金を横領。
母親は不倫相手に恐喝され金策にあえいでいる。
息子は全く勉強ができず、学校も塾も苦痛で嫌でしょうがない。
そんな不幸な一家を更に不運が…というオチでした。
“なんか、なんだかなぁ…。でも、これで良かったのかな”なんて思ってしまう自分がいます。
だって、この家族、修羅場になるのは時間の問題っぽかったし、その修羅場を家族一丸となって乗り越えられるようにも見えなかったし。
どこの家庭にも一つや二つ秘密はあるものだし、あんまし驚くようなコトじゃないのかもしれないですね。
“表面的、世間的に幸せなご家族を演じたまま終わるのもアリなのかな。こういう家族の形があってもイイのかも”と考えさせられました。


ご依頼の件〔星新一〕
【目次】
タブー
ご依頼の件
れいの女
夜の会話
真相
初夏のある日
防止対策
くしゃみ
アリバイ
外郭団体
出現したやつ
ある休日の午後
待遇
たのみごと
気の迷い
静かな生活
才能
話し声
あるシステム
新しい車
こころよい相手
むこうの世界

組み合せ
都市化現象
金銭と悩み
出張
退院
マドラー
バーであった男
ひと仕事
文字が
おととい
もらった薬
西風
輝く星
やつらのボス
依頼はOK
結晶
窓の奥

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