影の車〔1970〕

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ある日、中年の男が昔の幼馴染みと再会。未亡人の彼女に惹かれた男は、自然の成り行きで情事を重ねる。
しかし、6歳の息子の視線を感じた男は、以来罪悪感に苛まれ始める。



新文芸坐さんの「端正な美貌、知性あふれる演技 追悼・加藤剛」で『影の車』と『黒の斜面』の二本立てを鑑賞してきました。
どちらも“不倫もの”ですが、二作ともジワジワと“真綿で首を締められる”という表現がお似合いの怖~い映画です。

二作とも映画館で観るのは初めてで、テレビで見た時よりも映画の面白さと怖さがわかりました。
いやはや最高でした。


今回観た『影の車』は、子ども目線で観てしまったので、加藤剛氏演じる主人公に前にも増してイラッときました。
あと、不倫相手の岩下志麻さんにも。
“健一も貴方に懐いているわ…”と、事あるごとに言うんだけど、
“懐いてねーよ! 大人相手に子どもなりに忖度してるだけだっつーの! 気ぃ使わせるなっつーの!”
と、思ってしまいました。

ホラ、なんせ今回は子ども目線で観てたから、鈍感な大人達に、もーーー!イライライライラしました。

あと、大きなスクリーンで観たからか、六歳の子どもの表情の変化がより細かく伝わってきたというのも影響しているかも?
主人公が不倫相手の未亡人の家に足繁く通うようになってから、六歳の少年の目がどんどん冷たくなっているように見えたんですよねぇ…。
子どもは母親が不倫の恋にハマっている姿に複雑な思いを抱えて苦しんでいるのに、大人は全く気がつかずに二人の世界にひたっている。
こんなんで、子どもがよく知らないオッサンに懐くワケないっつーの。

あ。いかん、いかん。熱くなってしまった。
まぁ、とにかく、子役の演技あってこその映画なので、どうにもこうにも子どもの方に感情移入してしまいます。
(野村監督の映画に登場する子どもは大人より一枚以上もうわてなトコがイイです)

そして、平凡な日常が少しずつ侵蝕されていく様を描いた映画としても秀作だと思います。
橋本忍氏の脚本の力も大きいのでしょう。
正直言わせてもらえば、原作より面白くなっている映画の一つだと思っています。


人によっては退屈に感じるタイプの映画かもしれませんが、加藤剛氏の主演映画の中では1、2を争うほど好きな作品です。
(自分の中で『影の車』と『黒の斜面』が常に争っています)
テレビドラマ界のレジェンドで不朽の名作『大岡越前』と同時期というのも、また凄いです。
そして、岩下志麻さんが撮影時29歳というのも凄いです。
あの色香、あのたたずまい、あの落ち着き、なのに、弱冠29歳…!

そして、この映画では主人公の本妻役の小川真由美さん。
1978年の『鬼畜』では岩下志麻さんと立場が逆転するのが、また、何と言いますか…。
監督も原作者も同じというのが、また…。

うーん。
“あー。役者って、スゲェなぁ”って、言葉しか出てこないッスね。
今は。

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